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112b

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112b [2015/09/22 18:17]
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112b [2015/09/29 11:25]
marushima
ライン 1: ライン 1:
 ====== 112条(b) ====== ====== 112条(b) ======
 +
 + 112条(b)は、出願人が自己の発明であると考える主題を特定的に指示し且つ明確に主張する1以上のクレームで、明細書は終結しなければならない旨規定しています。この規定は、
 +  * 主題が特定的に指示され且つ明確にクレームされていること
 +  * 出願人が自己の発明と考える主題であること
 +の2つの要件を規定しているものと考えられます。
  
 ---- ----
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- 112条(b)は、出願人が自己の発明であると考える主題を特定的に指示し且つ明確に主張する1以上のクレームで、明細書は終結しなければならない旨規定しています。この規定は、\\ +===== 主題が特定的に指示され且つ明確にクレームされていること ​===== 
-(A)主題が特定的に指示され且つ明確にクレームされていること、および、\\ + この要件は、クレームの境界が合理的な程度に明確且つ正確であることを要求しています(MPEP §2173)。出願人は、クレーム中に用いられる用語について常識に反しない限り自由に定義することができます(MPEP §2173.01)。このクレームの明確性の判断は、(1)明細書の開示内容、(2)先行技術の教示、(3)当業者のクレーム解釈、に留意して行われることになっています(MPEP §2173.02)。また、クレームが広すぎる場合には、直ちに本要件に該当するというわけではなく、その事情によって[[112a|112条(a)]],​(b)、[[102a|102条]]または[[103|103条]]の何れかが適用されることになります(MPEP §2173.04)。\\
-(B)出願人が自己の発明と考える主題であること\\ +
-の2つの要件を規定しているものと考えられます。 +
- +
-(A) 主題が特定的に指示され且つ明確にクレームされていること(MPEP §2173) +
- この要件は、クレームの境界が合理的な程度に明確且つ正確であることを要求しています。出願人は、クレーム中に用いられる用語について常識に反しない限り自由に定義することができます(MPEP §2173.01)。このクレームの明確性の判断は、(1)明細書の開示内容、(2)先行技術の教示、(3)当業者のクレーム解釈、に留意して行われることになっています(MPEP §2173.02)。また、クレームが広すぎる場合には、直ちに本要件に該当するというわけではなく、その事情によって[[112a|112条(a)]],​(b)、[[102a|102条]]または[[103|103条]]の何れかが適用されることになります(MPEP §2173.04)。\\+
  クレームの記載において構成要件間の相互関係が不明確な場合には、この要件に違反します。例えば、"​said lever"​や"​the lever"​といった文言に先立って"​lever"​の文言が存在しない(lack of antecedent basis)場合には、この要件に違反することになります(MPEP §2173.05(e))。  クレームの記載において構成要件間の相互関係が不明確な場合には、この要件に違反します。例えば、"​said lever"​や"​the lever"​といった文言に先立って"​lever"​の文言が存在しない(lack of antecedent basis)場合には、この要件に違反することになります(MPEP §2173.05(e))。
  
-(B) 発明者が自己の発明と考える主題であること(MPEP §2172)\\ +===== 発明者が自己の発明と考える主題であること ​===== 
- この要件は、発明者がクレームの定義と異なる発明である旨を述べた場合のみ適用されるものであり、特に反証がない限り、本要件は満たすものと推定されます(In re Moore, 439 F.2d 1232, 169 USPQ 236 (CCPA 1971))。また、明細書とクレームが相矛盾しているというだけではここにいう反証とはならず、それは原則として[[112a|112条(a)]]の問題となります(In re Ehrreich, 590 F.2d 902, 200 USPQ 504 (CCPA 1979))。なお、出願経過においてクレームをシフトしても本要件が問題とされることはなく(In re Saunders, 444 F.2d 599, 170 USPQ 213 (CCPA 1971))、例えば親出願において当初は発明者が発明と考えていなかった主題であってもそれについて継続出願をすることは認められます(In re Brower, 433 F.2d 813, 167 USPQ 684 (CCPA 1970))。 ​+ この要件は、発明者がクレームの定義と異なる発明である旨を述べた場合のみ適用されるものであり(MPEP §2172)、特に反証がない限り、本要件は満たすものと推定されます(In re Moore, 439 F.2d 1232, 169 USPQ 236 (CCPA 1971))。また、明細書とクレームが相矛盾しているというだけではここにいう反証とはならず、それは原則として[[112a|112条(a)]]の問題となります(In re Ehrreich, 590 F.2d 902, 200 USPQ 504 (CCPA 1979))。なお、出願経過においてクレームをシフトしても本要件が問題とされることはなく(In re Saunders, 444 F.2d 599, 170 USPQ 213 (CCPA 1971))、例えば親出願において当初は発明者が発明と考えていなかった主題であってもそれについて継続出願をすることは認められます(In re Brower, 433 F.2d 813, 167 USPQ 684 (CCPA 1970))。 ​
  
112b.txt · 最終更新: 2015/09/29 11:25 by marushima