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審査官の意見通知

 最終拒絶通知に対する応答の後、拒絶が解消していないと審査官が判断すると、審査官は出願人に対して意見通知(advisory action)を発行します(MPEP §714.13)。その内容は出願人の応答(補正や意見)に対応するもので、例えば以下のようなコメントがされます。
 ・新規争点(new issue)を提起する補正がされ、さらにサーチが必要なのでこの補正は受け入れない。
 ・述べられた意見に説得性がないので拒絶は解消しない。
 ・クレーム2は特許するが、クレーム1は拒絶する。



出願人の対応(reply by applicant)

 出願人は、意見通知の内容に応じて以下のように柔軟に対応する必要があります。

 補正が受け入れられなかった場合、その発明について審査を受けたいときには、継続出願するとともに3ヶ月以内に予備補正(preliminary amendment)を行うことにより(37 CFR 1.115)、または、RCEをすると同時に補正を行うことにより(37 CFR 1.114©)、新規争点について審査官にサーチをさせることができます。

 一部のクレームだけが拒絶され、残りのクレームにより権利化を希望する場合には、拒絶されたクレームを削除する補正をすることができます(37 CFR 1.116(b))。また、拒絶されたクレームについてさらに権利化を図ることを希望する場合には、その拒絶されたクレームについて継続出願(35 U.S.C. 120)を行うことができます。

 また、拒絶をした審査官の判断に不服な場合には、審判請求(appeal)をして審判官の判断を仰ぐことができます(35 U.S.C. 134(a), 37 CFR 41.31(a))。但し、審判では自由に補正することはできず(37 CFR 41.33)、時間を要することにもなりますので、闇雲に審判請求をするのではなく、RCEや継続出願によって争点を尽くすことを優先させるべきです。

応答期限(time period for reply)

 意見通知がされた場合、その出願は最終拒絶された状態のままですから、延長料(37 CFR 1.17(a))を支払ったとしても最終拒絶通知から6ヶ月以内に何らかの対応をしなければ出願は放棄されたものとみなされてしまいます(37 CFR 1.135, MPEP §710.02(e))。そのため、最終拒絶通知に対する当初の応答を、最終拒絶通知から6ヶ月ぎりぎりでした場合には、意見通知を受け取る余裕がありませんので、意見通知を待たずにRCEや審判請求をしておく必要があります。

 なお、延長料金を計算するにあたっては、原則として最終拒絶の設定期間経過後から計算することになりますが、出願人が最終拒絶に対して2ヶ月以内に応答し、かつ、意見通知が最終拒絶から3ヶ月以内に郵送されなかった場合には、意見通知の郵送時から延長料金の計算をすることになっています(MPEP §706.07(f), §714.13)。但し、この場合であっても、最大延長期間は最終拒絶通知から6ヶ月で変わりはありません。