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宣誓書または宣言書

 ここにいう宣誓書(oath)または宣言書(declaration)は、特許出願の際の必須書類の一つです。



内容

 特許出願の一部として提出される宣誓書または宣言書は、以下の要件を備える必要があります。すなわち、

を含まなければなりません(37 CFR 1.63(a))。

 また、出願データシートに記載した場合を除き、各発明者の法律上の氏名および郵送先住所をそれぞれ特定しなければなりません(37 CFR 1.63(b))。逆にいえば、複数の発明者による出願の場合、それぞれの氏名および郵送先住所が出願データシートに記載されていれば、全員が1つの宣誓書または宣言書に署名する必要はなく、個別に宣誓書または宣言書を作成することが可能です。

 2012年規則改正により、優先権主張を伴う場合の先の外国出願については宣誓項目から除外され、出願データシートに記載することになりました。また、自身がそのクレームされた発明の真実かつ最初の発明者であると信じる旨の陳述、および、発明者の国籍の特定は不要となりました。また、自身がその出願の内容を査閲して理解した旨、および、特許性に関する重要な情報の開示義務(37 CFR 1.56)を認識している旨の陳述も宣誓項目から除外されましたが、宣誓する際には出願内容の理解および開示義務の認識が必要であることに変わりはありません(37 CFR 1.63(c))。

 宣誓書は公証人等の前で宣誓して署名することにより作成されます(37 CFR 1.66)。一方、この宣誓書に代えて宣言書を提出することができます。この宣言書は宣誓なしに作成されますが、全ての陳述は真実である旨を宣言書の中に示さなければなりません(37 CFR 1.68)。もし、虚偽の陳述をした場合には刑罰の対象となります(18 U.S.C. 1001)。なお、特許商標庁は、電子化の都合から、宣誓書ではなく宣言書を提出することを強く推奨しています(MPEP §602 I.A)。

 また、2012年規則改正により、宣誓書または宣言書と譲渡書を統合できることが明示されました(37 CFR 1.63(e))。これまでは、発明者による委任状と統合されたフォームが利用されてきましたが、法改正によって出願人(譲受人)による委任状が必要になったことに伴い(35 U.S.C. 118)、今後は譲渡書と統合されたフォームが一般的になると考えられます。

作成できる者

 宣誓書または宣言書は、現実の発明者によって作成されなければなりません(35 U.S.C. 115(a))。但し、2012年規則改正により、発明者が死亡している場合、法的能力を欠いている場合、署名を拒んでいる場合、または、勤勉な努力によっても探し出せない場合には、宣誓書または宣言書に代えて、出願人が代理人声明書(substitute statement)に署名することができるようになりました(37 CFR 1.64(a))。

言語

 宣誓書または宣言書を作成する者が英語を理解できない場合には、宣誓書または宣言書はその者が理解できる言語により作成される必要があります(37 CFR 1.69(a), MPEP §602.06)。但し、英語以外の言語で宣誓書または宣言書が作成された場合には、特許商標庁の様式によるものを除いて、英語による翻訳およびその翻訳が正確である旨の陳述(statement)を併せて提出しなければなりません(37 CFR 1.69(b), MPEP §602.06)。

提出時期

 宣誓書または宣言書は、原則として出願時に提出する必要があります(37 CFR 1.51(b))。ただし、出願データシートを提出していれば、発行費の支払日までは宣誓書または宣言書を提出することができます(37 CFR 1.53(f)(3))。この場合、追加料金を支払わなければなりません(37 CFR 1.16(f))。なお、出願後に宣誓書または宣言書を提出しても、出願日は維持されます(37 CFR 1.53(b))。

継続的出願の特例

 継続出願、分割出願または一部継続出願において先の出願と発明者が同じもしくは減少する場合には、新たな宣誓書または宣言書は不要であり、先の出願の宣誓書または宣言書(または代理人声明書)のコピーを提出すればよいことになっています(37 CFR 1.63(d)(1))。但し、先の出願にない発明者を追加する場合には、その新たな発明者については新たに宣誓書または宣言書を提出しなければなりません(37 CFR 1.63(d)(3))。

 なお、継続審査要求(RCE)は新たな出願ではなく、包袋もそのまま使用されますので、この場合は宣誓書または宣言書の再提出も不要です(37 CFR 1.114(a))。